MBLDで10ポイントを取りたい!

 

*この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2023の24日目の記事として作成されました。昨日はまっしゅさんの「動画を2本くらい出します」、明日はwajimajiさんの「最終日に忍びないですが…Pyramorphixのスピード解法について書きます」です。

 

お久しぶりです。かなりキューバー成分が薄くなってしまったジャンプイコールAこと岸本でございます。
この記事では、MBLDで10ポイントを取る事を目標に、MBLDの基本的?なやり方(個人的な意見です)を解説しています。10ポイント達成とまではいかなくても、この記事でMBLDに興味を持ったり、MBLDの記録をもっと伸ばしたいと思ってもらえる方がいらっしゃれば嬉しいです。読みにくい文かもしれませんがお付き合いくださると幸いです。
ちなみに、この記事では普通の3BLD(1個)をレターペア記憶を使ってできる前提で説明を進めます。まだBLDができない方は「こんな世界もあるのね」くらいの気持ちで読んでくださいね。
(※この記事を読んでも必ずMBLD10ポイントが達成できるようになるとは限りません。)

 

1. 事前準備

初っ端からハードルを上げるようで心苦しいのですが、やはり普通の3BLD(1個)がある程度できないとMBLDの上達はあまり期待できません。まずは3BLD(1個)をいっぱい練習して基礎を固めましょう。タイムの目安としては(1個だけの計測で)2分以内が望ましいです。また、MBLDは成功率の高さも鍵を握っているので、ついでにソルブの精度を上げる練習もしておきましょう(正確に記憶する、手順を綺麗に回すなど)。とりあえず成功率は7割くらいあれば結構良い感じです。「素早く、且つ正確に」ソルブできると、MBLDが楽しく練習できるようになります。ぜひとも会得しておきたい技術です。可能なら、1個で練習する際もMBLDで使うキューブ(※)で練習する機会を作るようにしてください。MBLDに使う予定のキューブには普段回さないモデルが含まれている場合があり、それらに事前に慣れておくと手順の途中で引っかかる等の事故を減らせます。
(※MBLDで使うキューブは手持ちの3*3の寄せ集めでも良いですが、指の感覚を競技中一定にするためにも大部分を同じモデルのものにするのがオススメです。500円くらいのチープなものをまとめ買いすると比較的お財布に優しいです。富豪の方は磁石入りの高級品を買いましょう。)
ちなみに、使う解法は3styleでなくても、M2/OPやM2/orozcoなどでMBLD10ポイントは十分狙えます(OP/OPはちょっと厳しいかも)。もちろん3styleが使いこなせれば(速いので)それに越した事はないのですが、「3styleはできるけどM2/OPの方が成功率は良い」というような場合には、両者のタイムに極端な差がない限りは成功率の良いM2/OPを取るべきです。MBLDでは1個ミスすると挑戦個数に対して実質-2ポイントなので、まずは成功率を重視するのが個人的にはオススメです。成功しなければ楽しめないので、速さは二の次でも良いかなとも思います
基礎が固まってきたら、まずは少数個のMBLDに挑戦して徐々にMBLDという競技に慣れていきましょう。いきなり10個とかに手を出すのはハードルが高いので、2~3個くらいから始めて少しずつ個数を増やすと良いです。次からはMBLD特有のテクニック等について書いていきます。

 

2. MBLDの記憶パートについて

3BLD(1個)と比べて、MBLDで一気に難易度がはね上がるのは記憶パートかもしれません。なんせ記憶量がめっちゃ多くなるので、それを忘れずに保持し続けられるようになる必要があります。
そういう体になるにはどうすれば良いのか? と言われたら、これはもう場所法とストーリー記憶をひたすら練習するしかないと思います。彼らはマスターすれば何文字でも覚えられるようになる最強の記憶法なので、MBLDでは場所法とストーリー記憶で記憶するのが一番良いです。場所法とは何か、というのはここでは割愛します。
MBLDで場所法を使う場合、例えば2+2=4文字ごとに切れたストーリーを作るなどすると、大量の小話ができて覚えにくくなるかもしれません。そういう場合は、エッジ12文字全部やコーナー8文字全部など、ひとかたまりのストーリーにする文字数を増やしてストーリーに深みやバリエーションを付けると良いと思います。例えばエッジ12文字の場合「AAがBBを使った。するとCCからDDが現れた。なのでEEが持つFFでやっつけた」みたいな感じで一息のストーリーにしてしまうという事です(複数の"場所"にちょっとしたつながりを持たせるイメージ)。MBLDでは比較的長い時間を使ってストーリーを組み立てられるため、ある程度の変化やオチの付いたストーリーを作れると最高です(ゴリゴリに凝った内容にする必要はないです)。難しい場合は「AAの下にBBがある。"ところが"、CCの下にはDDがある」のように、4文字ごとの小話の間に適当な接続語(しかし、なぜなら、すると、一方その頃、...)を入れるだけでも良いかもしれません。

こんなイメージ↓


余裕のある方は、この長めの1ストーリーを1ヵ所の場所にインプットする事ができるようになって欲しいです。そうすれば、場所を沢山用意する必要がないですし、脳内での場所移動回数も減るので脳への負担も減るかもしれません。ただこれも慣れるまでは難しいので無理して習得する必要はないです。
また、3BLD(1個)ではパリティの交換分析をしていたりEO/COのビジュアル記憶をしたりする事がありますが、先述の通りMBLDでは記憶量が多くなるので、確実に覚えるために交換分析はしない&EO/COは文字で覚えるようにしてください(交換分析をしないので、エッジにパリティ手順を適用する必要があります)。ただし、最後に記憶する1個については記憶してすぐに実行に移る事ができるので、交換分析やEO/COのビジュアル記憶を使っても良いです。エッジとコーナーのどちらから記憶する&実行するのかの順番も統一しておく(EC/ECまたはCE/CE)方が混乱しないのでオススメです(これも最後の1個は例外)。
ちなみに、ここの項目はおまけなので「ふーん」程度で見てもらって構わないのですが、バッファがDF/UBLなど特定の位置の場合、2e2eというMBLD向けパリティ処理方法を使う事もできます。2e2eはエッジの最後の1文字を専用手順で処理し、次にコーナーの最初の1文字をパリティ手順(変形Yperm)で処理する方法で、エッジの最後1文字+コーナーの最初1文字を合わせて1つのレターペアで覚える事ができます。なんかすごそうに感じるかもしれないですが、別に覚えなくても良いと思います。詳しくはこちらの解説動画を見てください。

 

3. MBLDの実行パートについて

記憶がしっかりできれば実行パートはいつもの3BLDとほぼ一緒なので、さほど脅威ではありません。しかし、ただ記憶通りに回せばokとも言い切れないので、よりポイントを稼げるようなテクニックなどもお伝えしておきます。
まずどのレベルの方にも言える事としては、当たり前ですがとにかく実行ミスをしないように注意するという点です。MBLDは他のBLD競技と違い多少ミスしても記録は残りますが、それでもなるべく正確に処理したいです。MBLD経験が浅い内は「残り時間があとわずかだから急ぎたい」とかいう状況を除いては、普段の3BLD(1個)よりもちょっと丁寧に回してあげるのが良いかなと思います。長時間実行していると頭も指もだんだん疲れてミスしやすくなっていくので、それに耐えられる体力もつけておきたいです。ここら辺はひたすらMBLDを(少数個でも良いので)練習して習得するのが一番早い気がします。
正確に回せるようになってきたら、今度は実行パートを速くできるように練習するのも良いと思います。単純に指の速度を上げるのも効果的ですが、より上を目指すなら「手順と手順の間で止まらずに実行する」練習をするのがオススメです。これは、ある手順を回しながら同時に次の手順の事を考えるようにして、手順間のタイムロスを0に近づけようぜ、というやり方です(手順を回し終わってからいちいち次の手順を考えていると、手順間で思考している時間がちょっとだけもったいないですよね)。習得するのが難しい上級テクニックですが、これができるようになるとかなり強いです。正直これも習得するにはひたすら意識して練習するしかないと思います。

こんなイメージ↓


MBLDの実行中に起きるピンチとして代表的なのは、実行途中で次の文字をどうにも思い出せなくなってしまう事でしょう。できればそうはならないのが理想ですが、完全には防げないと思います。対処方法としては、一旦その思い出せないキューブは後回しにして、すぐに実行できそうな他のキューブを先に処理してしまう事が挙げられます。この時、どのキューブを後回しにしたかを忘れずに覚えておきましょう(そうしないとそもそもどのキューブを忘れていたかを忘れます)。確実に得点を稼ぐためなのもそうなんですが、他のキューブの実行中に、忘れていたキューブの文字列をふと思い出せる場合も割とあります。揃えられるもんがなくなったとしてもなお思い出せなければ、制限時間いっぱいまで頑張って思い出す努力をしてください。私はそういう時は「なんとなく正解にたどり着けるかもしれない2文字」を思いつく限り片っ端から総当たりして手掛かりを探す、というのをよくやってました。トラブルに対処する練習をするのも結構大事です。
あとはまぁこれも当たり前の事ですが、キューブの取り間違いにも注意してください。もし取り間違えたらその部分のキューブたちはほぼ助かりません。取り間違い以外の原因であったとしても「あ、こいつもうダメだな」と思われるキューブが生じたら、そいつはもう捨てて次のキューブに取りかかりましょう。

 

4. 実践例

皆さんご存知の通りMBLDには制限時間が設けられているので、挑戦個数が増えるとどうしても時間を気にする必要が出てきます。そこで、MBLDでは「どのタイミングでどのキューブを記憶して、いつぐらいに実行パートに突入する」というような時間配分を事前に決めておくと、それを参考にしながらペース調整等ができるので慌てずに済みます(記憶パート中常に経過時間を確認できる環境にある事が大前提です。大会に出る際は必ずジャッジさんにストップウォッチを見える位置に置いてもらうようお願いしましょう)。この時間配分は「記憶が得意」「実行が得意」といった個人の技量に応じて、記憶の復習回数なども考慮しながら適当(適切)に決めてください。かなり勝手な意見ですが、中上級MBLDerは「復習回数は3~4回、記憶と実行のバランスは2:1~3:2くらい」というのが相場(?)な気がします。
とはいえ「どうやってペース配分とか決めたら良いかわかんないよ~」という方もいると思います。そんな方の為に、いくつか時間配分の例を考えてみたので、こちらも参考にしてみてください。

·10個

この記事のタイトルにある「10ポイント」を達成するのに最低限必要な個数です。MBLD10ポイントが欲しければ、まずは完璧でなくともここを目指してみましょう。
(点線の図は、色が付いた四角はキューブ、それに重なっている矢印は記憶/実行の順番、丸数字は便宜上のブロック名を表しています)


①記憶 6:00
①復習 2:00
②記憶 6:00
②復習 2:00
①~②復習 4:00
③記憶 6:00
③復習 2:00
①~③復習 8:00
④記憶+不安な所の復習 2:00
実行+時間的余裕 22:00
(実行順:④→①→②→③)

復習を多めに設けた安全重視型な構成にしてみました。一番最後の1個についてはいつも3BLD(1個)で使っている良いモデルの3*3を使っても良いでしょう。適当な節目(1ブロックを一巡し終わった時など)にチェックポイントを設けてそのタイミングに経過時間を確認し、その後の記憶/実行を急ぎ目でやるか丁寧にやるかを決めると良いです。もちろん実行パート中は残り時間を知る方法がないので、ここは経験と勘で残り時間を予想しながら処理していくしかないでしょう(そんな無茶な、と思うかもしれませんが、「そろそろ時間切れかな~」くらいなら練習している内になんとなくわかるようになるかもしれません)。

·14個

先ほどの例のように挑戦個数10個で10ポイントを狙うとなると、一切のミスが許されない完璧な試技を行う事になります。さすがにそれは難しいので、ある程度のミスを許容できる個数で挑むのが望ましいです。ここでは、2個までのミスが許される14個(完成12-ミス2=10ポイント)の例を示します。


①記憶 6:00
①復習 2:00
②記憶 6:00
②復習 2:00
③記憶 6:00
③復習 2:00
①~③復習 9:00
④記憶+復習 3:00
⑤記憶+不安な所の復習 2:00
実行+時間的余裕 22:00
(実行順:⑤→④→①→②→③)

先ほどの10個の例と比べると復習する回数がちょっと減り、メイン(①~③)のブロック内の個数が増えて難易度がアップしています。挑戦個数が増えると1個にかけられる時間が短くなるので、手早く記憶&実行をする必要があります。仕方ないですね。ブロック④のように、記憶保持時間が短めで比較的すぐに実行する小ブロックを作っても良いです(上の例では1個なので"ブロック"ではないかもしれませんが...)。ただ、これらの時間配分はあくまで一例なので、繰り返し練習をしていく中で自分に合わせて微調整していけばokです。

あと、ちゃっかり添付画像で示しちゃってますが「キューブをどのように並べるか」も適当に決めておいてください。これは速さとかには特に大きく影響はしませんが、実行する順番(位置)を決めておくとアイマスクをしてもキューブを取り間違えずに実行ができる、などのメリットがあります。全キューブを固めて置かず、ブロックごとに明確に分けて並べるとどこまで実行したかもわかりやすいです。

 

5. その他の小ネタ·注意点など

最後に、MBLDにおけるちょっとしたあれこれについても触れておきます。

·ハーモニカスタンド

大会でMBLDを行う場合、競技者の目と手元の間には板を入れるのがルールですが、この板をジャッジさんが入れるのではなく、競技者自身がハーモニカスタンドを使ってセルフで板を挟む場合もあります。このハーモニカスタンドを自作して練習に取り入れるのも(興味がある人には)オススメです。
作り方は簡単、市販のハーモニカスタンドに段ボールなどの板を取り付けるだけです。ハーモニカスタンドは楽器店などで1,000円ほどで買えるので高い買い物ではないと思います(板が付けやすく操作しやすそうなものを選んでください)。付ける板の横幅は胸から出ないくらいがちょうど良いです(横幅が広すぎると腕に当たってかなり邪魔です)。これを練習で使えば大会で手間取る事もないので、本番の環境に慣れるという点では有効だと思います。

ガムテープで板を取り付けた例↓

·解き終わったキューブどこに置くか問題

解き終わってもう手に取る必要のなくなったキューブをどこに置いておくかは、主に「遠くの邪魔にならない所に置く」派と「分析の時点で元々置いていた場所に戻す」派の2つがあると思います。それぞれの方法のメリットは、前者はどこまで実行したかが比較的わかりやすい、後者は狭い机でもやりやすいなどが挙げられますが、そこまで大きな差は多分ないので好きな方を選べば良いと思います。遠くに置く方法の場合、キューブをきっちり並べずにちょっと乱雑に置いておくとあまり手間がかからないですし、外から見ると強者MBLDer感も少し出るのでオススメですよ。

·挑戦個数を増やすタイミング

MBLDの挑戦個数をいつ増やすかについては、増やしても大丈夫そうだと思ったらその時にすぐ増やしちゃえば良いと思います。その増やした個数で実際にやってみて、いけそうな雰囲気があればそのまま練習すれば良いですし、まだ早いかなと思ったら元の個数に戻せば良いだけです。「この個数でパーフェクトを達成したら1個増やそう」という風に考えている方をたまに見かけますが、そういう事は気にせず、自分の実力でカバーできる範囲であればどんどん個数を増やしていった方が効果的な気がします(個数にもよりますがMBLDでパーフェクトが出るのは奇跡であると考えて良いです)。

 

最後に

いかがでしたか。この記事を書いてみて思ったんですが、やっぱりMBLDは簡単な競技じゃないです。しかし難易度が高い分良い記録が出た時の達成感は格別ですので、まだMBLDに挑戦した事がない方はぜひやってみて欲しいです。今の所MBLDのWCA記録を持つ日本人は100人程度なので、今の内に大会に参加すれば日本のtop100入りを狙えますよ。
ちなみに、この記事に書かれている内容はあくまでも私個人の意見でしかないので「これ良いな」と思った項目だけを真似してもらえればokです。色々な方法を試してみて、自分に合ったやり方を模索するのがMBLD上達の近道です。結局MBLDは練習あるのみ、これに尽きます。上達したいならとにかく練習するのが一番です。
...という所で今回はおしまいになります。最後まで読んでくださりありがとうございました。正直この記事が何かの役に立てるかはわかりませんが、一つの参考資料として利用してもらえれば嬉しいです。それでは皆さん良いMBLDライフをお過ごしください。またどこかで。

個人的EO·CO記憶法

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2022の6日目として書かれた記事です。5日目の記事はいかのおすしさんの「長いCLL(EG-1)手順は嫌いって話」でした。7日目の記事はじゅうべいさんの「正十二面体パズル、アイコサメイトについて」です。

 

こんにちは。ジャンプイコールAこと岸本と申します。
今回は、僕がEO·COをどのように記憶しているかを説明していきます。今回紹介するやり方では、EO/CO一つにつき2文字で覚える一般的な記憶方法よりも記憶文字数を節約できる場合があり、EO·COが多い時などには便利だと思っています。
僕にとって初めての長文解説ですので、不手際などあるかもしれませんがよろしくお願いします。

始めに

僕がBLDでEO·COを(文字にして)記憶する場合、エッジ/コーナーそれぞれの分析文字列の後ろに「ここから先はEO/COのパーツを表す文字ですよ~」という事を表す、記号的な役割の文字として「」を使います。
この方法では、エッジ/コーナーそれぞれにおいてEO/COを除くパーツをまず分析し、EO/COがある場合のみ「わ」を先ほどまで分析した文字列の最後に付け足します。その次にEO/COになっているパーツに割り当てられている文字の内の一文字を(EO/CO一つにつき一文字ずつ)選び、それらを「わ」の後ろに並べていきます。実行の際、記憶した文字列の途中で「わ」が出て来たら、その後に続く文字はEO/COのパーツとして処理します。
今回はバッファはUF/UFR、基準面はU=白/F=緑、ナンバリングは以下の通りとして説明します。

COの分析·記憶方法

ここからはエッジ·コーナーそれぞれのやり方を具体的に説明していきます。
COの場合は「COになっているコーナーに含まれる、U面またはD面のステッカーが向いている位置に割り当てられている文字」の一文字を(「わ」の後ろに置いて)記憶します。例えば、UFLが完成状態から見て時計回りのCOになっている場合、U面色である白のステッカーがFULにあるため「」を記憶します。
次のスクランブルでより実践的な例を説明します。
scramble:L2 U2 L U L' U L R U2 R' U' R U' R' L

このスクランブルはUFLとDFLがCOです。COがあるのでまずは「」を記憶する文字として置きます(実際は「わ」より前に通常ループを分析した文字列が来ますが、今回はそれが無いので省略します)。UFLは白のステッカーがLFUにあるので「」、DFLはD面色の黄色のステッカーがLFDにあるので「」を記憶します(順番はどちらからでもok)。この2文字を「わ」の後ろに並べて
わみむ
がこのスクランブルの記憶文字列(の一例)になります。各COを2文字で覚える方法と比べて1文字分だけ短くなっています。
実行の際は「わ」以降の「みむ」をそれぞれ元のCOに読み直して処理します。この時、U/D面色のステッカーの位置から使うべき手順をすぐに判断できると便利です。事前に調査しておくのがオススメです。

EOの分析·記憶方法

EOの場合は「EOになっているエッジに割り当てられている2文字の内のどちらか」の一文字をCOと同じように記憶します。例えば、URがEOになっている場合は「」か「」のどちらか一文字を記憶します。COの場合は向きが2種類あるので記憶する文字を決めておく必要がありますが、EOは180°反転の1種類しかないのでどちらの文字を覚えても成立します。
こちらも次のスクランブルで実践的な例を説明します。
scramble:F M' U2 M U2 M' U M U2 M' U2 M U' F'

EOがあるのでまずは「」です。このスクランブルはUR·UB·UL·FLがEOで、割り当てられている文字はそれぞれ「い/さ」「あ/た」「え/ま」「け/に」です。この4つから一文字ずつ選んで「わ」の後ろに並べていきますが、この時記憶する文字を上手く選んだり文字の順番を工夫すると、自分の覚えやすいレターペアを作れる場合があります(ただし吟味しすぎるとその分タイムが落ちるので注意)。このスクランブルであれば覚えやすそうな記憶文字列は
わさたけえ(わさび/竹/絵)」
とかでしょうか。もちろんこんな小細工をせずに見えたものから順に覚えても良いです。自分に合ったやり方を探しましょう。
実行については、EOに向きの区別がない事以外はCOとほぼ同じです。

実践例

最後に実践編として、EO·CO以外も含めて全て通しで分析·記憶してみましょう。
scramble:R B F2 L D2 L' D2 F2 L2 D2 F2 L2 F2 D' L F' L' R F' U2

(ULがEO、UBLがCO)

今回はエッジから分析する事とします。まずEO以外のエッジを分析すると分析文字列は
さあくたてきれめしりつす
のように(一例として)なります。今回はEOがあるので上の文字列の最後に「わ」を付け足して
さあくたてきれめしりつす-わ
となります(ハイフンはEO/COとの境目をわかりやすくするために入れています。僕は特に区別はしていません)。この「わ」以降がEOのパーツになります。今回はULだけがそれなので「」か「」を記憶します。どちらを使っても大して変わらなさそうなのでとりあえず「」を使う事にすると、最終的なエッジの記憶文字列は
さあくたてきれめしりつす-わえ
となります。
続いてコーナーです。先ほどのエッジと同様に分析すると、COの分析に入る前までの文字列は
けすたせつみ-わ
のようになります。ここからがCOです。今回はUBLだけがそれであり、U面色の白ステッカーがLUBにあるので「ま」を記憶します。すると、コーナーの記憶文字列は
けすたせつみ-わま
になります。
よって、今回のスクランブルの記憶文字列は
エッジ:さあくたてきれめしりつす-わえ
コーナー:けすたせつみ-わま
になります。

最後に

いかがでしたか。ここまでお付き合いくださりありがとうございました(ちゃんと伝わったかな...)。僕はこのやり方を使うようになってからはEO·COで登場するレターペアのバリエーションが増えて、EO·COの記憶がちょっとだけ楽しくなりました。ビジュアル記憶が難しい3BLDのEO·COや、MBLDなどの長距離系BLDでは特に効果的だと思います(個人の感覚です)。競技種目が長距離BLDしかない大田BLD大会も近いので、面白そうだなと思った方は一度試してみてくださいね。

とりあえず今回の記事はこの辺でおしまいにします。このやり方について何か疑問点などがありましたら気軽に質問してください。それではまたどこかでお会いしましょう。